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創造性の文化2017.06.29 Thu

アメリカのATDで人材開発の勉強してきたよ、まとめ編

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こんにちは、志村です。
アメリカ視察報告シリーズの最終回です。

▼これまでのブログは、下記よりご覧ください!
ぼくらがアメリカを旅するワケ
【パタゴニア視察】社員が仕事中にサーフィンにいっているよ、マヂで!
【ザッポス視察】集めるから集まるへ!あなたは自社の文化にワクワクしてる?

パタゴニア、ザッポスでの視察を終えて、
ATD(Association for Talent Development)という
世界的な人材開発コンベンションに参加するためアトランタに入りました。

僕と成瀬は、2008年にサンディエゴで開催されたこのコンベンションに参加したので、
9年ぶりの参加です。

人材開発に関する300以上のセミナーがある

ATDは4日間開催され、300以上のセミナーと人材開発関連の展示会が行われます。
まるでロックフェスのような感じで、「誰の話を聞こうかな〜」と迷うところから仕事が始まります。

ATDの展示場

かなり広い展示会場

僕は人材開発の世界的な潮流を知るために、ウィルフォワードのメンバーと是非行ってみたいとずっと思っていました。

このメンバーであれば、多くの触発をうけて、色々なアイデアを持ち帰ることで、僕らのサービスやコンサルティングの質を画期的に高めたり、商品開発をしたり、今後のトレンドにあった施策を考えることができるからです。

投資する費用以上のリターンは必ず得られるという自負を持ち、皆で行くことを決めました。

人材開発といっても様々な分野があるので、 ATDではいくつかの項目に細部化してそれぞれのセミナーセッションを行なっています。

・グローバル人材開発
・キャリア開発
・人材の効果的な活用
・トレーニング学習設計
・リーダーシップ開発
・テクノロジーを活用した学習方法(webやネットを活用した教育)
・研修の効果測定
・学びの科学(脳科学・行動科学・心理学)
・トレーニング手法 

などの分野があり、それぞれの分野に卓越した専門家がいます。

会場も30クラス以上あり、規模も100人から3000人以上までと様々です。

毎年集客の大目玉であるゲストスピーカーがいらっしゃるのですが、
今年は、アメリカの英雄であり、リアル「宇宙兄弟」のキャプテン・マーク&スコット・ケリーさんや、
TEDでも有名で著者が日本でも大ヒットした美人心理学者のケリー・マクゴニガルさんでした。

大きな会場

リアルに宇宙兄弟だったキャプテン・マーク&スコット・ケリー兄弟

魅力的なコンテンツばかりですが、1日に参加できるセミナーは最大5個になるため、どれを選ぶか考えるだけでも大変な労力です。

海外の参加者のために、同時通訳があるセッションもいくつかあり、伝説レベルや注目を集めている講師は、日本語の通訳で聞くことができました。

300以上あるので、もちろん、当たり外れもありますが、その中でも僕が行って面白かったセッションをご紹介したいと思います。

あくまでも僕が選んだものなので、これが ATDの全容ではありませんが、参考になれば幸いです。

マインドフルネスを人材開発に

4名バラバラに回ったんですが、僕の初日は「組織開発にマインドフルネスをどう活かすか」というセッションを受けました。
Michelle somerdayさんのセッションです。

マインドフルネスどう企業に活かすか?

マインドフルネスを明確に「技術」と言い、リーダーシップ開発と絡めてお話をしていたのが、印象的でした。

昨今、日本ではマインドフルネスが癒し軸として語られることも多い中、アメリカでは早々にリーダー開発として導入する企業が増えているそうです。

日本では、Googleで開発されて導入されたという触れ込みでマインドフルネスが注目されています。

このセミナーではマインドフルネスをスキルと位置づけ、

【スキル】     【結果】
・集中力    → ・生産性の向上
・注意深い傾聴力→ ・共感とつながり
・自己認識能力 → ・セルフマネジメント
・感情制御   → ・回復力(レジリエンス)

と行っていたのが、とても体系立っていて面白い説明の仕方だと思いました。

一緒に参加した日本の人事部の方とお話をしまして、なかなかマインドフルネスを企業として導入するには難しい部分もあるよねと話していました。

確かに、組織課題と人事課題を解決する上で、このマインドフルネスがどうリンクしていくのかが、いまいち見えない。人事部の担当者がそれを幹部に説明できなければ実施もできない。

マインドフルネス研修単体として売るよりも、リーダーシップやマネジメント研修の中で自己認識を扱うセッションの中に、工夫して入れ込むとプログラムとして成立してくると思いました。

実際に、マインドフルネスではないのですが、僕たちがプロデュースしている佐藤政樹さんの講座では、呼吸法を取り入れたりしています。

これは、プレゼンテーション研修で扱うのですが、呼吸法と瞑想法などを組み合わせて、僕らなら企業ニーズと合わせて研修の1つのワークとして取り組めるのではないかと思いました。

ストレスは僕らにとって良いものだ!

近年のATDでは、NeuoSciencseといった脳科学的なアプローチで人材育成を語るセッションが多くあります。

今回のメインスピーカーの一人である、ケリー・マクゴニガルさんは心理学的な観点でストレスについてお話をしていました。

ケリーさん

日本でも本が60万部以上売れているケリーさんが提唱されているのはストレスマネジメントです。

これは今の現代人にとって誰もが潜在的に抱えている問題で面白いです。

ケリーさんは、ストレスとの向き合い方について教えてくれました。

ストレスは体に悪いという印象がありますが、実はそうではなくストレスにもメリットがあるということを説明してくれます。

ストレスを肯定的に捉え、活用するなら
・生産性や成果が向上する
・学習や成長につなげられる
・健康や活力につながる
・集中力を高まる
といったメリットがあるそうです。

ストレスは害ではなく、良いものとしてマインドセットすることが大切であり、その結果、自己管理していけると仰っていました。

ここまでは自己啓発セミナーでもありそうな話ですよね。

しかし、ケリーさんはこう続けます。

「ストレスが起こると人は繋がりを求めるようになる」。

それは、ストレスを受けると脳内にオキシトシンというホルモンが出てくるからとのこと。
このオキシトシンは、日本では恋愛ホルモンや幸せホルモンとしても知られています。
幸福な時にも出るホルモンです。

このオキシトシンというホルモンは、ストレスでも出てくるというのです。オキシトシンがでることで、人と人とがつながり合い、ストレスを軽減したり、乗り越えたりできるのです。

「ストレスが人との関わりやつながりを求めるよう。」

彼女が健康心理学者で、オキシトシンという脳内物質を出して説明をしてくれるので、とても説得力があります。

こうした別分野の専門家が人材開発を科学的に説明してくるのもATDの良い点です。

これを聞いていて僕は思ったことがありました。

それは東日本大震災が起きてから、「絆」という言葉が日本中に溢れました。まさにストレスから、日本人の脳にオキシトシンが発生し、つながりをもとめた結果なのではないかと思いました。

また、仕事で嫌なことが続くと赤提灯の居酒屋で会社や上司の愚痴を言いたくなりますよね。これもオキシトシンが発生し、同僚に繋がりを求めて、話をきてもらいたくなるからということで説明できます。なぜ、都会に飲み屋が多いのかを脳科学的に理解できました(笑)

企業においても、社員のストレスマネジメントはとても大切な観点です。

ケリーさんは、慢性的なストレスは害の元だと言っています。

労働環境を考えた時に、ストレスマネジメントを人事の方や経営者が勉強されることはとても大切です。

更に言えば、ストレスはつながりによって解消するのであれば、職場においても人と人が繋がり合う「情緒的なつながり」をつくる機会を創出するのは大切だと思います。

講演は75分ほどでしたが、15分で要約したものがTEDにありますので、
興味がある方はこちらをご覧ください。

※youtubeを日本語訳にしてご覧ください。

また、この本も素晴らしくよい本です。
研修やワークショップに活かせる要素が存分に散りばめられています。

ケリー

ケリー・マクゴニガルさんの本

脳神経科学から、よい組織文化を考える

また、脳科学的なアプローチで企業文化をつくるにはどうしたらいいのか、というテーマのポール・J・ザックさんが特に印象的でした。

ポールJザックさん

「神経経済学」を世界で初めて唱え、オキシトシンと信頼の関係を発見した経済学者です。

ケリーさんと同様にオキシトシンという作用が組織の生産性や文化作りにどのように関与するのかを伝えていました。

ザックさんはたくさんの人の血中のオキシトシンを計測した結果、人を信頼するときは、血中のオキシトシンの量が高くなると実験でわかってきたそうです。

このオキシトシンを高い組織文化にするためにザックさんはこの講演でこのようなことを伝えていました。

オキシトシンの高い状態をつくるには、
組織の中に「信頼」と「目的」が大切であると伝えていました。

その上で、エンゲージメント(愛着心)とサービスがあり、信頼の中で喜びが育まれ、成果につながると言っていました。

このような状態をつくるために、ザックさんは オキシトシン(OXYTOCIN)の頭文字から下記のようなことが大切だと述べていました。

Ovation(歓迎)     …褒めたりすることは脳に最適
eXpectation(期待)  …期待し挑戦する。
Yield(生み出す・生産) …実践しているか?
Transfer(移す)    …なぜやっているか?タスクに焦点を合わせる。
Openness(オープン性) …オープンであるか?
Caring(思いやり)   …人間関係は大切   
Invest(投資)     …同僚に対して
Natured(自然に)    …不完全は魅力でもある

ポールザックさん

こうしたことをベースに組織づくりをしていくことが大切だそうです。

そして、良い組織をつくるためには「信頼」と「目的」があり、常に対話することが求められるということでした。

チームワークや組織文化作りについて脳神経科学に基づき解説していただき、自分たちの言葉に裏付けや証拠ができた大変に勉強になりました。

ザックさんの映像もTEDにありますので、こちらからご覧ください。

ザックさんの本もオススメです。

ポールJザック

ポール・J・ザックさんの本

研修トレーナーやるならこの人から学べ!

今回は、米国で研修トレーナーになるなら「Bob Pike から学べ」と言われているレジェンドの講演にも参加しました。

ボブパイク先生

ボブの講演を前回のATD2009で学び衝撃を受けたことを覚えています。

それから本で学び、かなり僕の知識のベースになりました。

ボブのクリエイティブトレーニングの手法は、セミナーで参加者が囚人(退屈で逃げれない)にならず、どうしたら主体的に参加してもらえるかという点を非常に論理的に教えてくれます。

早速、帰ってすぐに活かせるアイデアをゲットしました。日本では中村文子さんがボブと共著でトレーニングブック「講師インストラクターハンドブック」を書いています。

ボブパイク

日本でもこのセミナーもやっているので、また受講しにいきたいと思いました。

素晴らしいセミナーです。中村さんの会社です。
ボブパイク流のトレーナー養成ワークショップ

一緒にATDへ参加した佐藤 政樹さんは、今回の参加目的の一つがボブと写真を撮ること!

ボブパイクを最前列で

早くから、一番前の席で聴講し、僕らもそれぞれ、写真を撮ってもらいました!

伝わるプレゼンテーション

僕と佐藤さんは、セミナー講師向けの声の出し方を主にしたボイス講座も受けに行きました。
 
その先生も佐藤さんと同じで舞台経験のある講師でした。

伝え方の先生

驚いたことに、私たちがオリジナルで考えた伝え方のメソッドとその先生が伝えているメソッドがあまりにも似ていたのです。

 
佐藤さんは「エネルギーの源は肚(はら)にあり。プロの世界では全てが肚、肚、肚。動きも呼吸も声も自己表現も腹に落とし込む事である」
 
ということを伝えており、いつも使っている図(頭、胸、肚)という表現をしています。


この講師は Think、Heart、Energy Source と表現していました。
 
僕らは思わず目を見合わせて、「世界レベルのことを伝えていますね」と笑ってしまいました。

【関連記事】佐藤政樹のTEDx〜感動を創造する言葉の伝え方〜 


アメリカの人材開発から学べた4つのこと

上記でお伝えした研修以外にも、たくさんの研修を受講しました。

ですが、ATDでは300種類もの研修が開催されたので、全てを受講できたわけではありません。ですから、このレポートにも偏りがありますし、僕が興味のあるものしか、レポートにしていません。

これがATDだと思わないでくださいね。

また、私の言語力や翻訳などを通した理解のため、内容が必ずしも正確でない可能性もありますのでご了承ください。

色々なセッションがある

ただ、人材開発や人事関連に携わっている方は、1度は行ってみると良いと思います。

アメリカの人材開発の素晴らしいところは、大きく4点あると思います。

1つ目は「体系だって物事が整理されている」点です。

いろんな人種や背景がある中で、形式化され言語化され、「見える化」されていることはとても大切です。

2つ目は、根拠となる裏付けのデータや研究が進んでいることです。

3つ目は、いろいろな分野の専門家がいて、自分のポジションはどこなのかを考える
よいきっかけになることです。

4つ目は、日本に輸入前のトレンドを垣間見ることができる点です。

行く上で大切なことは、「自分が何を欲していて、何を成してていきたいか」ということです。

ATDは人材開発のデパートだという風に表現される方もいて、ただ、何となくいけば、流行はわかるかもしれませんけど、何を専門にするのか、そこから何を仕入れるのか、どうビジネスにつなげるのかは、行く人次第な気がします。

僕らは、脳科学的なアプローチ、組織文化をどうつくるのか、ITでの教育の仕方、研修の運営方法、ボイストレーニングなど、割と「デリバリースキル」という「研修のやり方」を中心に情報を収集しました。

ですから、早速6月以降の研修で ATDで仕入れた情報や視点を、クライアントに提供してます。

今まで僕らが伝えていた情報の裏付けができたことは、とても大きな収穫でした。

終わった後のビールもうまい

終わった後のビールもうまい

今回の視察後の副次的な効果

アトランタの街

アトランタのオリンピック記念公園

勉強しにいったことによって、副次的な効果もありました。

それは、「アメリカに勉強しに行くなんて、すごい」とか、「勉強熱心な人」と言っていただけたことです。

僕は行きたいから行ったのであって、勉強するぞ!というよりは、「海外旅行いける、わーーい!」というテンションで行きました。

元来ナマケモノなので、やりたいことだけはパワーがでます(笑)

帰国後、海外で勉強してきたことを聞かせてほしいと言う問い合わせや連絡をもらえたことは良かったです。

そこから仕事につながることもありました。

改めて、どんどん海外には行くのは大切ですね。このご時世は、国内向けの事業でも、世界の流れは必ず影響を受けます。

だから、ウィルフォワードでも、今後はそれぞれの仕事で海外にいく視察や研修を増やしていこうと成瀬とも話をしました。

最後に

さらにATDで物凄い勉強になった反面、意外と日本も負けてないぞ、自信になったこともたくさんあります。

だからこそ、海外で勉強する目的は、新しい技術知識の体得のみならず、自国や自分たちの仕事を再認識できるまたとないチャンスです。

僕の個人的な考えとしてはATDは、毎年行かなくても良いです。ATDは3,4年に1度くらいトレンドを見にいけば十分です。

この経験や得た情報から、どうやって自分の専門性を高めるために活かしていけるかだと思います。
だから、僕は来年ATDに行くよりも、ポールJザック先生を追っかけて勉強する方がよいと思いました。

だから来年はATDには行かないと思いますが、これからもアメリカのみならず、色々なところから勉強していきます。

自分たちが目指す組織のあり方や人材開発の新しい姿を追求していきたいと思います。

また、今後は日本の人材開発の良さも海外に発信する機会をつくりだしていきたいです。

日本人は世界中の最も良いものを集めてきて、さらに上質なものに昇華する文化があります。

教育で言えば、サービスにおけるおもてなしや、ホスピタリティは日本が最強です。

ATDのあと、フロリダのディズニーワールドに寄ってきましたが、サービス面だけ見ると東京ディズニーランドの方が洗練されていると思いました。

そういう意味で、日本の人材開発や教育のmade in japanを何らかの形で、海外に輸出できると信じています。

そんな夢を描きながらこれからもがんばっていきたいと思います!!

【関連記事】佐藤政樹さんのATD振り返りコラム 

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